|
04/2/18 Ｍａｃ導入体験記 ２ ア ッ プ ル ス ト ア 銀 座 で Ｍ ａ ｃ を Mac導入記を書く以上、購入の次第も書いておこう。新規開店したばかりの、日本唯一のアップル直販店「アップルストア銀座」で、Macのフラグシップ機を買ったということ以外、格別なことはない。まあ、新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいな言いぐさで、吹聴しているのを読んで、笑い飛ばしていただければいい。 Macは前回書いたようにマイナーな存在である。そのせいだろう、Macを買うのは、テレビや冷蔵庫を買うようなわけには行かない。Windowsパソコンなら、まあ、テレビや冷蔵庫と同じような買い方ができよう。近場の電器量販店に、いろんな機種がそろっていて、値段も、東京の秋葉原や西新宿あたりとさほどかわりはない。しかしMacとなると、地方の店は品揃えが、がぜん悪くなる。最新機種も、それらについての情報も、十分には行き渡っていないようだ。パソコン売り場の店員にMacのことをたずねると、ぼーっと遠くを見るような目になる。 東京のカメラや電器の量販店では、もちろんMacを売っている。ただ値引きは、ほとんどない。電器製品やパソコンだと、20%か、それ以上の値引きがないと、何だかぼられたような気がする。量販店では、値引きした上に、ポイントまで付く。その点ではMacは別格のようだ。Macは特別のコーナーに鎮座している。ここだけは、安売りはありませんよ、という「特別区」のようだ。 Macを買おうかな、と思いはじめた頃から、そんな特別区に、ときどきぶらっと入るようになった。雰囲気が普通のパソコン売り場とかなり違う。白やシルバーを基調にしたマシンが多いせいだろうか。大きなパネル状の液晶ディスプレーが、鮮やかな色の画像を見せているせいだろうか。最近評判のiPodも、そこで売られている。白い、丸っこい、プラスティックの肌触りが、アップル製品らしい。アップルは、機能だけでなく、かっこよさを売り物にしている。 今年になってから、専用のノートを一冊作った。表題は「MacG5導入計画」。店に行って、表示されている価格を書き留めてきた。次には、担当者と話してみた。そのことを記録した。そしてやがて、見積もりをしてもらった紙切れなどを、貼り付けた。購入するまでに、薄いノートは半分以上、記録や資料で埋まっていた。 すぐに分かったのは、Macというのは、正価販売だということ。どの店に行っても、同じ価格を表示してある。それはそれとして多少の値引きはあるのだろうと打診してみた。だが、反応はにぶい。正価で買うのが当然だよ、というような応対をされる。Macを買う人は、どうやら鷹揚な人種らしい。ディスプレイを含めると、50万円程度のものを買うというのに、値引きがないとは。ポイントをつける店がある。10%のポイントだ。普通の商品なら、値引きした価格にさらに10%はおろか、20%ものポイントをつけることもある。Macは正価で売り、ポイントも少ない。どうもWindowsパソコンに比べると、実質30%程度割高なのではないか。しかし惚れ込んだ弱み、いまさら振るわけにはいかない。そのあたりに、Mac購入層の共通点があるようだ。 アップル社は、昨年（2003年）の終わり頃、銀座にアップル・ストアをオープンした。アメリカには各地にあるらしいが、アメリカ以外では、世界ではじめてオープンした直営店である。ここ数年の傾向だと思うが、世界中の主なファッション・ブランド店が、銀座のいい場所に店を構えるようになってきた。敷地を買収して、そこに全く新しいビルを建てたり、完全な改装をしたりしての堂々たる出店である。エルメス、ルイヴィトン、ティファニー、・・・・。銀座を歩くと、これらブランド店による変貌が目立つ。一時は地盤沈下の傾向が見られた銀座が、生き返ってきたのは、それらの店の進出によるところが大きい。 そんな中、パソコンという、およそ銀座通りには今までありえなかった商品を携えて、アップル社が自社直営のストアを出すというので、驚いた。秋葉原や新宿でないところがいい。アップルは、販売戦略上、パソコンや関連商品を売る場所として、銀座を選んだ。それも銀座通りの特等席だ。３丁目の角、松屋デパートの前。以前はサエグサビルといい、一階は三井住友銀行の銀座支店があった場所だ。
昨年11月末にオープンしたこの店に、１月早々出かけてみた。１階から３階にかけての壁は、中央通り側も、松屋通りに面した側も、硬質の金属パネルで覆われていて、そこにアップル社のロゴである、一口囓ったリンゴのマークが、大きく白色に描かれている。銀座では、異色の外観だ。店に入ってみると、商品をごちゃごちゃと置かない方針らしい。２階まで吹き抜けになっている店内は、広々としている。普通のパソコンショップとはぜんぜん違う印象だ。値段や仕様をごちゃごちゃ書いたパネルもなく、ただ、マシンだけがおいてあるため、すっきりしている。使えるように置いてあるパソコンをいじったり、それを肩越しに眺める客が群れている。店員は今風の若者ファッションを装い、きびきびと動いている。 正面にガラス張りの大きなエレベータが、２基、上がり下りしているのが見える。店は５階まである。エレベータに乗ってみると、なにもボタンはない。各階止まりで、自動的に動いている。素通しのエレベータ・ボックスから、各階の様子は丸見えだ。２階には、音楽、画像関連の周辺機器と「Genius Bar」と称する、相談コーナーがある。３階は、シアターと称するプレゼンテーションの場所になっている。映画館のようだ。マックの基本的な使い方や、主なソフトのショーが行われている。４階はマック専用ソフトと本や雑誌の売り場、プリンターなどの周辺機器のほかに、インターネットカフェと、子供用のコーナーがある。 このアップルストアは、単なるショールームではない。アップルの製品を直販する店である。意外にも建物の奥の部分は、商品倉庫になっているらしく、注文すると、奥から台車に乗せて、すぐに現物が現れ、キャッシングと同時に登録が行われる。修理もここでやるらしい。地価の高い銀座に、パソコンのように、がさばるものの倉庫を置くとは、なかなかの販売方針だ。ノート型パソコンや、小さな商品は、その場から持って帰れます、というのが売りになっている。 店員は、なかなかセールス上手である。じつは、はじめて店に入った日、入るなりすぐに声がかかった。G5を購入するつもりだが、と話すと、すぐにその場で、細かい話に応じてくれた。手応えを感じたのは、一応の見積もりをしてくれたあと、他店で割り引き提供しているなら、販売価格については、ご相談に応じます、とはっきり言ってくれたことだ。あとでもらったこのストアのパンフレットにも、そう明記してある。 その日は、話を聞いただけで帰ってきた。しかし、もうその時、買うならアップルストア銀座で買おう、となかば決めていた。午後４時までに購入手続きをとれば、水戸までなら、その日のうちに現品配達してくれる、という。しかも、特注のメモリー増設もし、購入したソフトのインストールなどもしてくれた上でだ。送料その他サービス料はなし。その上、G5をこの店で購入した場合には、この店限定のプロ・カードの会員になれ、特典がつく。たとえば、ジニアスと称する専門家と、技術的な問題をいつでも相談できるのだ。 その後、他店の値段を調べて歩いた。それぞれの店の見積もりをとって歩いた。先に書いた通りであるが、ポイントによる実質割引がせいぜいである。アップルストア銀座で、相談に乗ってくれた人に電話し、ポイント相当程度の割引について、感触を得た。電話口では「水戸からいらっしゃったお客さんを、手ぶらで帰すようなことはいたしません」と大見得を切った。 そして２月８日、日曜日だが、この日しかなかった。混み合っているのは承知で、ストアへ出向いた。担当者は午後からの出勤になっているという。ちょっと時間つぶしをして、再びストアへ。ところが「病気で、今日はお休み」という伝言である。ガックリきた。だが、対応してくれた女性の店員が、私が代わりにお話をうかがいます、と申し出てくれた。これまでのことを話す。どうやら、よくある話のようだ。あらためて見積もりを作り、割引について、マネージャーに相談してきますと奥へ引き込んだ。間もなく出てきて、増設メモリーの値段以外は、こちらの希望が通った。 かくして、こちらの都合で翌々日にしてもらったが、指定時間にMacＧ５一式が届けられ、１時間後には、用意しておいたパソコン台の上で、Ｇ５は動き出した。 |
