03/03/15

　ヴェトナム行きを決めてからの行動は、早かった。

 　翌１月８日上京。いつも利用している高速バスを上野で降りると、日比谷にある三信ビル内の「ワールド航空サービス」へ直行した。「ワールド航空サービス」は、熟年者に評判がいいらしい。実際に利用した知人から、お薦めの会社と聞いていた。さらには、たまたま観た新春のテレビ番組で、「これから伸びる会社」 の一つとしても取り上げられていた。そんなこともあって、「ヴェトナム旅行の様子を聞いて、一度利用してみよう」 と、出かけたのだ。

　海外旅行をするとき、グループツアーにするか、個人旅行にするか。これについては、人それぞれ、いろんな意見がある。私たちの方針は、こうである。英語の通じる国へ行く場合には、個人旅行。それ以外は、グループツアー。ただし、ツアーには自由度がないから、最後の宿泊地で何泊か追加して、そこで自由行動をする。今度の場合もこれにあたる。

　アジア担当の辻奥大樹さんから、この会社の春の企画のいくつかの説明を聞いた。「あんまり面倒見がいいのではなく、自由度が多いのがいいんですが・・・」と、私たちのツアー参加の希望を話す。

　「３日後に、ビジネスクラスで訪れるヴェトナムの企画に、私が添乗を担当して出かけることになっています。多分、こういうのは、ダメでしょうねえ」　と言いながら、パンフレットを開く。遺跡を巡るのが中心の旅。汽車を利用する旅。主な観光地にゆっくりと連泊する旅。その他。ヴェトナムの旅の企画がいくつもある。すでに催行が決まったものや、もう少しで決まりというのもある。結局、私たちは、３月１７日発の「ベトナムの世界遺産とメコンデルタの旅」１０泊１１日のツアーが相応しかろうと、希望する。さらに、最終地のホーチミン・シティで、５泊の延泊をしたいと話す。延泊のホテルは、所在場所を地図で調べてきたが、候補が４つある。宿泊できる可能性と費用、延泊に伴う帰りの飛行便の変更など、調べてもらうことにした。

　１週間待っても返事がないので電話すると、冨野治恵さんという、若い女性が対応してくれた。
　「今日中に、確認して、改めてお返事をします」 とのこと。夜、４つのホテルはいずれもＯＫだという返事がある。ツアーで泊まるのはマジェスティック・ホテルかコンティネンタル・ホテルのいずれかで、どちらもフランス植民地時代に創設されたコロニアルスタイルだ。できれば同じホテルの方がよかろうと、サイゴン川沿いにあるマジェスティック・ホテルのリバーサイドの部屋を頼んだ。

　１月１５日、再び上京し、ツアーの申し込みをし、予約金を払った。

　冨野さんは、「明後日から添乗でヴェトナムへ出かけますので、留守中の連絡は、アジア班の誰かにしてもらうように、話しておきます」と言う。その後、めちゃ明るい戸田さんという女性から、電話があった。まだ会ってはいないけれど、話っぷりに感心した。ひとことごとに、「戸田がうけたまわりました」と、自分の名前を連呼する。

　ヴェトナムに出かけるという話に、なんと３人が対応してくれた。これが、どうやら「ワールド航空サービス」の仕組みらしいと、次第に分かってきた。今まで利用した「阪神航空」、「朝日サン・ツアーズ」、「ニッコウトラベル」は、いずれも、原則として、企画・営業と添乗は、分担が分かれている。だが「ワールド航空サービス」は、アジアとかヨーロッパとか地域毎の分担グループがあって、企画し、営業し、添乗するまでの一連の流れを、全員で行っているようだ。「この分だと、ひょっとしたら、今までに関わった３人のうちのだれかが、添乗するかも知れないね」と、私たちは話す。

　こうして、私たちのヴェトナム旅行実現は、トントン拍子に進み、寝ても覚めても、ヴェトナムが頭の中に溢れていった。