2006年6月、タクラマカン砂漠周辺のシルクロードを訪ねる旅に出た。その出発点ウルムチは、新彊ウイグル自治区の首都。中国政府が進めている西部開発の基点として大発展を遂げつつあり、かつてのオアシス都市の趣はない。このアルバムでは、中国僻地のこの都市で見た人々のエネルギーを、町の中心にある人民広場の写したシーンでお見せしたい。新彊は北京など中国主要部と実質２時間の時差があるが、北京時間に従っている。その分人々は長い夕方と夜の時間を遅くまで楽しむ。暗くなってくるのが９時過ぎ、12時過ぎても広場は人でいっぱいだ。子供たちは催し物やローラー・ブレーダーを楽しみ、大人たちは無料で上演される映画を楽しむ。一部の大人たちは暗がりに集まり、音楽を奏で唄い踊る。朝、明るくなってくるのは遅い。しかし早い時間から太極拳の輪ができる。

　機材：ニコンD50、レンズ： VR24-120mm

ウ ル ム チ 市 街

　町中にある紅山公園の展望台から。２枚のパノラマ合成。

人民広場正面の解放記念塔と背後のツインビル

　新彊ウイグル自治区は人民解放軍により「解放」されたことになっている。しかし現地人は、漢人によって占領されたと思っているようだ。現在、首都ウルムチは経済発展がめざましく、人々は繁栄を楽しみ、解放か占領かなど頓着していないように見える。記念塔正面には仮設の舞台が作られ、子供らのダンスショーなどを楽しんでいた。

少女ダンサー

ダンスのため化粧をし、出番を待つ女の子。

ローラー・ブレーダー

　別のコーナーは、子供たちのローラー・ブレーダーに解放されている。

母 と 息 子

　ローラー・ブレーダーが怖いと泣きべそをかく子と、それを厳しくしかりつける母親。親は子供を時流に乗せようと懸命だ。中国人は公衆の面前で大きな声を出して喧嘩したり、子供を叱ったりするように見える。

野外映画を見る人々

同じ広場の別の場所では、大スクリーンに映画が上演され、たくさんのひとが見ている。最新のアメリカの冒険もの。

歌 の 輪

　木立に囲まれた部分では、音楽を楽しむ人々の輪ができている。胡弓などの楽器をバックに、志願者が次々に唄いつつ静かに舞いもする。とても暗い。ISO1600に増感し、それでも f3.5, 1/2秒でやっと撮れた。手持ちでもVRのおかげで何とか。露出補正-1.3で撮り、RAW現像時に多少戻した。

朝 は 太 極 拳

翌朝になると広場は、太極拳をする人々のグループで占められている。