９月末から10月初旬、アイルランドへ旅行したおり、西の沖合にあるイニシュマーン島へ行ってみた。アラン諸島に属する島の一つ（下の地図で三っつ大きな島があるうちの、真ん中の島）である。隣のイニシュモア島は断崖や石器時代の遺跡で有名だが、観光地化しているときいて、あまり人の行かないこの島へいった。フェリーから降りたのは10人足らず。人口200人の荒涼とした島である。ほとんど全面が石灰岩に覆われた不毛の土地に、人々は石垣を築き、わずかの土をかき集めて牧草を育て、牛や羊を飼っている。あるいは、キャンバスを張り、黒い防水塗料を塗ったボートで漁をしてなりわいを立てている。

　機材：ニコンD100、D50、レンズ： VR24-120mm、DX12-24mm

石垣のネットワーク

　利用可能な平地は石垣を積み、そこにわずかの土を確保して、牧草地としている。石垣がなければ、土は風で持ち去られ、裸の岩盤となってしまう。

地の果てのような

　島の西南部分は、石灰岩が露出した全く不毛の土地である。劇作家シングは、この風景を愛し、きまって座っていたというベンチ状の場所がある。

岩の原への道

　道はあるが、車もなければ、誰も歩いてもいない。この道の先には、岩の原（上の画像）しかない。隣のイニシュモア島の一部が見える。

茅葺きの家

　石を積んで壁をつくり、屋根は茅で葺いている。茅が吹き飛ばないように、ワイヤを渡して抑えてある。この地方伝統の家だ。現代風の家が増えてはいるが、いまだにこんな家に住んでい家族もある。

石積みの砦

　島のいちばん高い場所に砦がある。いつ作られたとも分からない古代の遺跡である。ここで何を守り、暮らしを立てていたのだろうか。

ロバがいた

生き物を見て、ほっとする。痩せ地にわずかばかり生えた草を食べている。

漁　舟

　アラン島独特の漁船である。木で骨組みを作りキャンバスを貼り、防水塗装したものだ。使われなくなったものは、ぼろのまま放置されている。二人で漁に出て、カニ、ロブスター、小魚を捕る。零細な漁業だ。漁港はなく、舟を台車に載せ傾斜地から海に滑り下ろす。

帰りのフェリーが来た

　島に渡るフェリーは朝と夕方と一便づつ。本土に届ける荷物の脇には、人恋しげに犬が待っている。