03/10/25

　旅日記の方では、まだゆっくりとブルガリアを旅していますが、このフォトインプレッションでは、ルーマニアに移ります。首都ブカレストの中心に革命広場があります。その一角に民主化革命に蜂起し、犠牲となった人々の慰霊碑がひっそりと置かれています。国が築いたというより、有志が作った非公式のものでしょう。
　1989年12月末、ルーマニアは、他の東欧諸国の民主化の潮流に遅れて、チャウシェスク大統領の独裁下にありました。しかし12月15日に、改革派教会の聖職者に主導されて始まった反チャウシェスク革命は、大学生から市民へと広がり、数万人の市民が毎日この広場や付近の大通りで抗議のデモを繰り広げました。十字架の向こうに見える建物が、チャウシェスクが陣取った共産党本部です。そのバルコニー（建物正面に３つのアーチが見えますが、その上）からチャウシェスクは、群衆に説得の演説をしましたが、そのたびにブーイングで中断を余儀なくされ、治安部隊が出動して、市民を蹴散らす、ということがくり返されました。ついには戦車がでて、治安部隊が発砲し、この広場で、多くの死者が出ましたが、市民は負けませんでした。最後の日、12月22日、チャウシェスクは、まだ国民は自分の味方だと信じて、このバルコニーから演説をしましたが、市民の抗議の激しさに、恐怖を感じ、この建物の屋上に飛来したヘリコプターで、エレナ夫人とともに逃げました。間もなく近隣の村で捕まり、人民裁判にかけられて、25日に処刑されました。その二人の死体は全世界にテレビ放映されたのを記憶しています。